アナログレコードができるまで
カッティング
CUTTING
録音された音源をラッカー盤に刻むという、音を決める重要な工程です。この工程では、約50年前に当時の西ドイツで製造されたノイマンというメーカーのカッティングマシン「VMS70」を使い、円盤状のカッティング・レースの上にアルミ製の円盤に樹脂を塗った「ラッカー盤」を置き、カッター・ヘッドの針に熱を加えて溝を刻みます。レコードの回転数、大きさ、外側と内側などのさまざまな条件を踏まえ、依頼者が意図する音をつくります。
メッキ処理
PLATING
カッティングによって溝が刻まれたラッカー盤にメッキ処理する工程です。電鋳メッキという方法でニッケルを使って型取りします。メッキ処理されたものを剥がすと凹面だった部分は凸面になり、これが「マスター盤」となります。さらにメッキ処理をして溝が凹面となった「マザー盤」を製作し、音を確認します。このマザー盤をさらにメッキ処理し、溝が凸面になったプレス用の「スタンパー盤」をつくります。
プレス加工
PRESS
プレス機の上下にスタンパー盤を取り付け、塩化ビニールに型を押し当て150℃前後の熱と約100トンの圧力でプレスしてレコードをつくる工程です。気温によってレコードの形が変わるため、プレスエンジニアによる細かな調整が行われます。レコードの原料となる塩化ビニールは透明ですが、強度を高めるためにカーボンを加えるので黒色になります。カラーレコードの場合はカーボンではなく、それぞれの色に着色した材料を使用します。
仕上げ
FINISHING
プレスされたレコードを抜き取って試聴し、袋詰めして仕上げるアナログレコード製造の最終工程です。試聴による音質のチェックはもちろん、傷や歪みがないかエンジニアの目と手によってA面・B面、1枚ずつ確認します。プレスされたレコードの縁やバリを丁寧にカットして仕上げ、検品に合格した製品のみ1枚1枚袋詰めし、アーティストや音楽の世界観を表現したジャケットに収められて出荷します。