アナログレコード製品に関する「不具合の手引き」
1. はじめに
東洋化成株式会社は1959年の創業以来、日本国内におけるアナログレコード製造を担ってまいりました。
当社では旧JIS規格に基づいた自社規格に沿って製品の製造を行っており、200枚毎に1枚の抜き取り検査を行うことで、品質の調査・管理を行っています。200枚未満のご注文に関しましては、製造中に一度の抜き取り検査を実施しています。
本項は当社製レコードにおける「よくある不具合」と「品質判定基準」についてまとめたものです。
当社で製造いただいた製品につきまして、商品に不備がある場合、納品日より7日以内にお申し出ください。当社の製造工程において発生した不良の場合につきましては対応させていただきます。また、納品日より7日を過ぎたお申し出に関しては一切責任を負いかねます。保管状況・環境によっては盤面に反りなどの不良が発生することがあります。直射日光の当たらない、出来るだけ一定の温度や湿度を保てる場所での保管を推奨しております。
2. 不具合発生時の基本対応フロー
- ①不具合を確認
再生不良、盤面のキズ、反りなどを目視・試聴でご確認ください。 - ②使用環境を確認
使用するターンテーブル、針の状態、設置環境など、再生機器側の要因もご確認ください。 - ③当社基準に基づく判定
東洋化成では「旧JIS規格を基準とした当社独自基準」で品質判定を行っております。 - ④対応検討・ご案内
不具合内容により、再プレスや製品交換など、適切な対応を実施します。
3. よくある不具合事例とその考え方ならびにご対応
不具合例 | 内容・現象 | 当社での考え方・ご対応 |
---|---|---|
反り・歪み | 盤が反っている・波打っている | 当社基準値内の反りは原則交換不可。 |
音飛び | 針が溝をトレース出来ず、再生時に音が途切れてしまう | プレス起因の場合はクレーム対象。再生環境やカッティングにに起因する場合は、原則交換不可。 |
ノイズ | 「プチプチ」「ジリジリ」音がする | 異物混入・材料不良等の場合はクレーム対象。当社基準値内のノイズや静電気や針汚れによるものは対象外。 |
外観上のシミ・スレ | 盤面に見受けられるシミや薄いスレなど | 音質や再生には影響がなく、外観上のみの傷の場合は原則交換不可。 対策)紙内袋に直接封入すると、盤に擦り傷やスレが付きやすいため、弊社ではショーレックスへの封入を推奨しております。 |
偏心・センターずれ | 中央穴の偏心・センターずれ | 当社基準値内の偏心・センターずれは原則交換不可。 |
音圧・音質 | 音が小さい/こもる/歪み | マスタリングやカッティング起因のものはクレーム対象外。 |
カラー盤への黒材混入 | 極微な黒材が混入して外観上確認出来る | 稀にタンクに残存していた〜1mm程度の黒材がプレス時に出てしまうことがあるが、音質や再生には影響が無いため原則良品判定。 |
汚れなどの付着物/指紋 | 材料の破片やほこりなどが付着している/指紋 | 拭けば取れる汚れや指紋に関しては、音質や再生には影響が無いため原則良品判定。 |
盤面のシミ/細かい凹凸 | スタンパーの付着物や整形不良などにより発生した目視できる凹凸やシミ | 大きさが当社基準値を超える場合、もしくは音質や再生に影響が出る場合は交換対応。両者とも当てはまらない場合は原則良品判定。 |
センターホールのバリ、外周のバリ | 原則交換不可。 | |
気泡 | レーベル面、もしくはピクチャー盤などに発生する気泡のような膨れ | 気泡の大きさが当社基準値を超える場合、もしくは音質や再生に影響が出る場合はクレーム対象。両者とも当てはまらない場合は原則良品判定。 |
レーベルのずれ | 当社基準値を超える場合はクレーム対象。基準値内のずれは原則交換不可。 | |
レーベルの色変化 | プレス時の熱や圧力により発生する変色 | プレスの性質上変色は避けられないため、いかなる理由においても交換対応不可。 |
レーベルの破れ/取り違い/ダブルレーベル | レーベルにひび割れが発生/異なるレーベルになっている/レーベルが2重になっている | クレーム対象。 |
【その他注意事項】
★ピクチャー盤・不透明色で発生するノイズ・歪みについて→ピクチャー盤や不透明色の盤(ホワイト・乳白系カラーなど)は、製造方法の違いや使用している原材料の影響で、黒盤やクリアカラー盤と比較するとノイズや歪みが多く発生いたします。上記の理由により、ピクチャー盤と不透明盤については黒盤・クリアカラー盤とは違う試聴判定基準となり、その基準値内のノイズについてはクレーム対象外となります。
ご検討の際は、上記ノイズ・歪みについて事前にご了承の上、ご注文をお願いいたします。よりノイズの少ない製品をご希望の場合は、黒盤でのご発注を推奨いたします。
4. 当社品質判定基準について
旧JIS規格を基準とし、さらに長年の製造ノウハウを基にした当社独自基準を適用。
「再生時の音に影響があるか否か」を最優先で判断。
極端な外観不良や再生不能などについては不良と判定。
一方でアナログ特有の個体差や再生環境差はご理解をお願いしております。
5. お客様へのお願い
以下をご準備いただくとスムーズです。
・ 品番
・ 不具合内容・発生箇所
・ 再生環境(プレーヤー/カートリッジ型番など)
・ 盤面写真や音の録音データ
また、アナログレコード特有の個体差や環境差による音質の違いについては、ご理解をお願い申し上げます。
6. 最後に
東洋化成は、アナログレコード文化を支えるメーカーとして、品質向上とお客様満足度向上に努めてまいります。
ご不明点はお気軽にお問い合わせください。
東洋化成株式会社